鳥取大学医学部
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腎泌尿器系 総論  

腎泌尿器系は腎臓 kidney と泌尿器系(尿管・膀胱・尿道)。腎臓のみを扱うときに nephrology、それ以後の尿路系を扱うときに urologyという。腎臓の機能は尿 urine をつくることで、それ以後の尿路系の機能は、できた尿を膀胱 urinary bladder に貯めて、排出すべきときに排出すること。排尿 urination (おしっこ、ですね)は(普通は)トイレに行ったときのみなんですが、腎臓は常に尿を産生している。このページでは腎臓の機能のみを扱います。

尿を産生するというと、「身体にとっていらないもの=老廃物」を排泄する、という機能が分かりやすいんだけど、もっと大切なのは尿の量・組成を調節することにより、血液の量・組成を一定に保つこと。血液の量のパラメーターは、血圧・浸透圧であり、血液の組成のパラメーターはイオン濃度・pHである。実際に血液中のなにを一定に保とうとしてるかというと、下のリストになる。いろんな電解質、化学物質がでてきてうっとうしいですが、ざっと眺めてください。上から、ソディウム、ポタシウム、カルシウムなどのイオン濃度を一定に保つべき、というのは体液のところででてくる。血液のpHはおおよそ7.4で、これを一定に保つ、ということはプロトンの濃度を一定に保つことで、そのためには重炭酸イオンの濃度も効いてくる。血液の量の調節=水の量の調節というのはわかりやすいですね。最後、血液の浸透圧 osmotic pressure はおよそ300 mOsmで、これはソディウム、クロライド、およびBUN (blood urea nitrogen:血中尿素窒素、あとからでてきます)などの濃度で決まる。

老廃物の排出のほうのキーワードは窒素 nitrogen。窒素ガスは水に溶けない、というのが呼吸器のところででてきましたが覚えてますか?窒素はアミノ酸、核酸その他に含まれていて適当に排出する必要があるんだけど、二酸化炭素のようにガスとして排出することはできない、そこで水に溶けるものに変えて尿へ排出する。その一番手が尿素 urea でこれは肝臓で産生されて(尿素サイクル)血中に放出され、腎臓で尿中に排出される。BUN とは血中尿素濃度のことです。二番手がアンモニア、これは腎臓の尿細管細胞で産生されて尿中へ排出される。アンモニアは肝臓でも作られて尿素サイクルで処理される。肝機能が落ちたときには高アンモニア血症になるけど、これは相当に危ない状態です。三番手が尿酸 uric acid、これはプリン purine の代謝産物。プリンって、お菓子のプリンじゃないですよ、核酸の構造を復習してください。そのほか、クレアチニンは骨格筋でATPの化学エネルギーを使うときに必要な分子で、これの排出はGFR (glomerular filtration rate: 糸球体ろ過率)の評価に重要、このことはあとででてきます。その他、いろんな薬物が尿中へ排出される。

腎臓の機能はこれだけで終わらなくて、内分泌器官としても働く。ビタミンDは腎臓で活性化される。ビタミンDって何に必要だったか、復習してください。エリスロポイエチン erythropoietin は名前のとおり赤血球 erythrocyte の産生に必要なホルモン。血液のところででてきます。

腎不全 renal failure

腎機能が低下すると、尿量が減少する(乏尿 oligourea)。極端な場合には尿が出なくなる(無尿 anuria)。水の貯留のため浮腫 edama をきたす。ソディウムの貯留 (高Na+血症)のため血圧が上がる。ポタシウムの貯留 (高K+血症)のため不整脈を起こしやすくなる。プロトンの貯留のためアシドーシスに陥る。老廃物が排出されないので、尿素、クレアチニンの血中濃度が上がる(アンモニアは肝臓で処理されるので上がらない)。急性と慢性に分けて考えたほうが理解しやすい。急性腎不全 acute renal failure の最もよくある原因は循環不全(=ショック)による腎血流の低下。慢性腎不全は、糸球体腎炎など腎臓自身の疾患によるものと、糖尿病など他疾患によるものがある。慢性に腎機能が低下すると、エリスロポイエチンの低下のため貧血になり、ビタミンDの低下のため骨折しやすくなる。メルクマニュアルを一読して下さい。

Note: 腎不全で高アンモニア血症になることもある
腎機能が低下したとき、血中でまず増加するのは尿素(と、クレアチニン)であり、尿素の素となるアンモニアの濃度は上がらない。高アンモニア血症は、それを処理する肝臓の機能障害のサインである、と理解してよい。しかし、腎不全で尿素の増加がひどいときには、アンモニアの濃度も上がることがある。これは、増えた尿素の一部が血中から腸内に拡散し、腸内細菌の酵素ウレアーゼによって二酸化炭素とアンモニアに分解されるため。発生したアンモニアが再吸収される。

腎臓の解剖

腎臓は後腹膜腔に一対あってそら豆の形をしてる。腎動脈renal arteryは大動脈 aorta から直接はいって、腎静脈 renal vein は大静脈 vena cavaへ直接戻る。輪切りにしてみると、外から被膜 capsule、皮質 cortex、髄質 medulla。髄質は下の絵のように錐体の格好になってる。尿が産生されるところがネフロンで、下の絵の位置にある。この場所が機能的に重要。ネフロンで産生された尿は集合管 collecting duct、乳頭管 papillary duct、腎杯 calyx、腎孟 pelvis を経て尿管 ureter へ、尿管は腎臓を出て膀胱に至る。ここら辺のルートの名前はまあそんなものかと思ってもらっていいんですが、ネフロン・集合管だけは心に刻み込むように。

ネフロン nephron

腎臓の機能単位 functional unit がネフロンで、これは2つの部分からなる。ひとつは腎小体 renal corpuscleで、ここで血液がろ過される。もうひとつが尿細管 urinary tubule で、尿中の成分の再吸収、およびいろんな物質の分泌が行われる。下の左の絵で、腎小体も尿細管も変な格好をしてますが、この構造がどう機能と結びつくのか、を次のページから説明します。ここではおおざっぱに印象をつかんでください。これに血管系を描きこんでみると右の絵になる。輸入・輸出細動脈というのが出てきて、これは腎小体にはいって、出て行く血管。輸出細動脈はさらに尿細管のまわりをぐるっとまわって静脈系へ戻る。いったん下に降りてまた上がってくるところを、まっすぐなので直血管 vasa recta と呼ぶ。

尿細管は下の図に示す4つの部分に分かれる。ろ過された液体が流れる順番に、近位曲尿細管 proximal convoluted tubule、ヘンレの係蹄 loop of Henle、遠位曲尿細管 distal convoluted tubule そして集合管 collecting duct。ヘンレの係蹄はさらに3つの部分に分かれて、下行脚 decending limb、細い上行脚 thin ascending limb そして太い上行脚 thick ascending limb。細い、とか太いとか言うのがなにか変な感じがしますが、これはもう見たまんまと思ってください。機能的にもこの区別は重要です。

尿はネフロンでつくられる。繰り返しになるけど、その過程はおおきく2つに分かれる。ひとつは腎小体での血液のろ過。もうひとつが尿細管での再吸収と分泌。尿細管での再吸収と分泌の結果として、腎髄質に浸透圧勾配が生じ、尿の量の調節(=尿の濃縮・希釈)が可能になる。これらの機能を書き込んでみたのが下の図。

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